レズビアンは日本で養子縁組できる?特別養子縁組・普通養子縁組・里親制度を解説

レズビアン日本で養子縁組の解説 レズビアン

レズビアンは日本で養子縁組できる?特別養子縁組・普通養子縁組・里親制度を解説

※この記事は2026年5月時点の公開情報をもとに作成しています。 制度や運用は変わることがあるため、実際に検討する際は、児童相談所、家庭裁判所、認可を受けた養子縁組あっせん事業者、弁護士などに最新情報をご確認ください。 [法務省] [こども家庭庁]

レズビアンとして、日本で子どもを迎えたい。そう考えたとき、「同性カップルでも養子縁組はできるの?」「特別養子縁組と普通養子縁組は何が違うの?」「里親制度も選択肢になるの?」と、たくさんの疑問や不安にぶつかる方は少なくありません。

けれど実際には、特別養子縁組、普通養子縁組、里親制度はそれぞれ仕組みが異なり、現行法でできることとできないことも違います。この記事では、日本でレズビアンが子どもを迎える方法について、制度の違い、法律上の壁、相談先、注意点まで、できるだけわかりやすく整理して解説します。 [法務省] [こども家庭庁]



まず結論――レズビアンが日本で子どもを迎える道はある

結論から言うと、日本でレズビアンが子どもを迎える道はあります。ただし、「2人そろって法律上の親になれるかどうか」は制度によって大きく異なります。特別養子縁組は現行法上、原則として夫婦による共同縁組が必要です。一方で、普通養子縁組は制度上、単身者でも検討の余地があります。また、里親制度については、LGBTであることのみを理由に一律排除するべきではないという考え方が示されています。 [法務省] [こども家庭庁] [厚生労働省]

つまり、「まったく不可能」ではありません。ただし、「どの制度でも同じように親になれる」わけでもありません。大切なのは、制度ごとの違いを正確に知り、自分たちに関係する選択肢を落ち着いて見極めることです。

比較の図解

レズビアンが日本で子どもを迎えたい
│
├─ 特別養子縁組
│   └─ 原則として「配偶者がいること」「夫婦共同」が必要
│      → 現行法では同性カップルが2人で成立させるのは難しい
│
├─ 普通養子縁組
│   └─ 単身者として検討余地あり
│      → ただし未成年者なら原則として家庭裁判所の許可が必要
│
└─ 里親制度
    └─ LGBTであることだけで一律排除しない
       → 個別に養育適格性を判断

日本の養子縁組は2種類ある

法務省によると、日本の養子縁組には大きく分けて「普通養子縁組」と「特別養子縁組」の2種類があります。普通養子縁組は、縁組後も実親との親子関係が残る制度です。これに対して特別養子縁組は、子どもの福祉のため特に必要がある場合に、家庭裁判所の手続によって成立し、実親との法律上の親子関係が終了する制度です。 [法務省]

この違いは、レズビアンが日本で養子縁組を考えるときにとても重要です。なぜなら、特別養子縁組はより厳格な制度であり、養親の条件にも大きな制限があるからです。一方、普通養子縁組は制度上の入口が少し異なり、単身者として検討できる余地があります。 [法務省] [裁判所]

普通養子縁組と特別養子縁組の違い

【普通養子縁組】
・実親との親子関係:残る
・成立方法:合意と届出が基本
・未成年者を養子にする場合:原則として家庭裁判所の許可が必要
・単身者:制度上は検討余地あり

【特別養子縁組】
・実親との親子関係:終了する
・成立方法:家庭裁判所の審判
・養親:原則として配偶者がいる者、夫婦共同
・単身者:原則として不可
・子どもの年齢:原則として請求時15歳未満
・成立前:6か月以上の監護が必要

普通養子縁組は縁組後も実親子関係が存続する図

出典:法務省

特別養子縁組は縁組により実親子関係が終了する図

出典:法務省

レズビアンカップルは特別養子縁組できる?

結論として、現行制度のもとでは、レズビアンカップルが2人で特別養子縁組を成立させることは難しいと考えられます。こども家庭庁は、特別養子縁組の養親となるには「配偶者のいる方(夫婦)」である必要があり、「夫婦共同で縁組をする」と説明しています。 [こども家庭庁]

さらに、法務省の会見記録でも、日本で同性同士の婚姻が認められていないことを前提にした訴訟の説明がされています。そのため、2026年5月時点では、同性カップルが法律上の夫婦として特別養子縁組を共同で申し立てることは、全国一律の現行制度上は難しい、という整理になります。 [法務省会見記録] [法務省会見記録]

また、特別養子縁組は、単に「夫婦であればよい」という制度でもありません。裁判所の案内によると、特別養子縁組を成立させるには、特別養子適格の確認と、特別養子縁組成立の申立てという二段階の手続が必要です。さらに、成立前には6か月以上の監護も必要になります。 [裁判所]

パートナーシップ制度があれば特別養子縁組できる?

この点は誤解されやすいですが、自治体のパートナーシップ制度は、現行の特別養子縁組で求められる「夫婦」の要件と同じ法的効果を持つものではありません。そのため、パートナーシップ証明があるからといって、直ちに特別養子縁組が可能になるわけではありません。 [こども家庭庁]

 【2026年最新】パートナーシップ制度とは?レズビアン・同性カップルの手続き完全ガイド|メリット・デメリット・結婚との違い→ https://nanairocandy.com/category/collection/

普通養子縁組なら可能性はある?

普通養子縁組については、特別養子縁組とは異なり、制度上は単身者でも検討の余地があります。法務省は、養親となる者について成年者であることを示し、未成年者を養子とする場合には原則として家庭裁判所の許可が必要だと説明しています。したがって、レズビアン当事者が「個人として」子どもとの法律上の親子関係を結ぶことを考える場合には、普通養子縁組がひとつの検討対象になります。 [法務省] [裁判所]

ただし、普通養子縁組は「理論上は入口がある」というだけで、必ずしも簡単に成立する制度ではありません。未成年者の普通養子縁組では、家庭裁判所の許可や法定代理人の代諾などが関わり、子どもの利益や個別事情が重視されます。簡単な抜け道ではなく、あくまで子どものための制度として判断されることを忘れてはいけません。 [法務省]

また、仮に一方のパートナーだけが普通養子縁組で法的な親になった場合でも、もう一方のパートナーに自動的に親としての法的地位が生まれるわけではありません。生活の中では2人で育てていても、法律上は1人しか親でない状態が起こりえます。ここは将来の生活設計に大きく関わるポイントです。

LGBTでも里親になれる?

子どもを迎える方法を考えるとき、養子縁組だけでなく里親制度も重要な選択肢です。こども家庭庁は、里親制度を「さまざまな事情で家族と離れて暮らすこどもを、自分の家庭に迎え入れ、温かい愛情と正しい理解を持って養育する制度」と説明しています。 [こども家庭庁]

特に重要なのが、厚生労働省のガイドラインです。この資料では、単身、共働き、LGBT等の者であっても、里親制度の趣旨を理解し、適切に養育できると認められる場合には里親として認定されるものであり、同性カップルやLGBTであることを理由に一律に里親認定から除外することは適当ではない、という考え方が示されています。 [厚生労働省]

ただし、里親制度は養子縁組と同じではありません。里親として家庭で子どもを育てることと、法律上の親子関係を成立させることは別です。里親制度ではLGBTだからという理由だけで一律排除しない一方で、特別養子縁組には別の法的壁が残る、という整理になります。 [こども家庭庁] [法務省]

養子縁組と里親制度の違い

【養子縁組】
・法律上の親子関係をつくる制度
・戸籍や親子関係に直接関わる
・特別養子縁組は夫婦要件が強い
・普通養子縁組は単身者でも検討余地あり

【里親制度】
・家庭で子どもを養育する制度
・必ずしも養子縁組と同じではない
・LGBTであることだけを理由に一律排除しない考え方がある
・子どもの最善の利益の観点から個別判断

相談先はどこ?

実際に子どもを迎えることを考え始めたら、まずは信頼できる相談先につながることが大切です。最初の相談先として重要なのは、児童相談所と、許可を受けた民間の養子縁組あっせん事業者です。こども家庭庁は、許可を受けた養子縁組あっせん事業者の一覧も公開しています。 [こども家庭庁] [養子縁組あっせん事業者一覧]

相談の場では、「レズビアン当事者として相談したい」「単独での普通養子縁組の可能性を知りたい」「里親制度も含めて検討したい」など、今の希望を率直に伝えることが大切です。曖昧なままよりも、何を知りたいのかを明確にしたほうが、必要な情報につながりやすくなります。

子どもを迎える前に考えたい現実的なポイント

制度上の可否だけではなく、実際に子どもとどう暮らしていくかも重要です。特に、法的な親になるのが一方だけの場合には、病院での同意、学校や保育園への提出書類、緊急連絡先、住居契約、生命保険、相続など、生活のさまざまな場面で不都合が出る可能性があります。家族としては2人で育てていても、法律上の扱いが一致しないためです。

だからこそ、子どもを迎える前には、「制度上できるかどうか」だけではなく、「成立後の生活をどう支えるか」まで考える必要があります。たとえば、緊急時に頼れる人がいるか、片方のパートナーに何かあった場合の備えはあるか、子どもへの説明をどうするか、といった視点です。子どもを迎えることは、成立した瞬間がゴールではなく、そこからがスタートです。 [こども家庭庁] [特別養子縁組制度特設サイト]

よくある質問

レズビアンカップルは2人で特別養子縁組できますか?

現行制度では、特別養子縁組には原則として配偶者がいること、そして夫婦共同での縁組が求められています。そのため、日本で法律婚できない同性カップルが2人で養親となることは、2026年5月時点では難しいと考えられます。 [こども家庭庁]

単身のレズビアンは普通養子縁組できますか?

普通養子縁組は制度上、単身者でも検討余地があります。ただし、未成年者を養子にする場合には家庭裁判所の許可が必要で、個別事情によって大きく左右されるため、実際には専門機関への確認が欠かせません。 [法務省] [裁判所]

LGBTでも里親になれますか?

LGBTであることだけを理由に一律に排除することは適当ではないという考え方が、厚生労働省のガイドラインで示されています。実際には、子どもの最善の利益の観点から個別に判断されます。 [厚生労働省]

パートナーシップ制度があれば特別養子縁組できますか?

自治体のパートナーシップ制度は大切な仕組みですが、現行の特別養子縁組で求められる「夫婦」の要件と同じ法的効果を持つものではありません。そのため、直ちに特別養子縁組の要件を満たすことにはなりません。 [こども家庭庁]

まとめ

レズビアンが日本で養子縁組や里親制度を考えるとき、現行制度にはたしかに壁があります。特に、特別養子縁組では夫婦要件が大きなハードルになります。一方で、普通養子縁組には単独で検討しうる余地があり、里親制度についてはLGBTであることだけを理由に一律排除しないという考え方も示されています。 [法務省] [厚生労働省]

大切なのは、「無理かもしれない」と思って終わるのではなく、制度ごとの違いを正確に知り、信頼できる相談先につながることです。この記事が、必要としている誰かにとって、最初の一歩になればうれしいです。


参考リンク